「正しい家計管理」林總

 

 

ちょっと前に読んだ「正しい家計管理長期プラン編」

 

kareiko.hatenadiary.com

 

読む順番は逆になってしまったのかもしれないが

改めて「正しい家計管理」読んでみた。

 

長期プラン編と重なるところも多かったが

やはり、これを読んでから、長期プラン編を読むほうが

順番的に良いように思う。

 

齢50の私。

人生の酸いも甘いも、まあそれなりに経験してきたので

ザ、教科書的な本著を読みながら

「人生、そう、計画通りにはいかないんだよなあ、、」と

心の中でぽつりと一言。

 

しかし、家計管理は、生活の基本。

この本の内容を知っているのと知らないのとでは

人生がずいぶん違ったものになるとも感じた。

 

読後、早速、本著を1冊注文。

4月から社会人となる娘へのプレゼント。

お金に無頓着で

子どもの頃から、お小遣いをもらったら

威勢よく使ってしまい

月末にはすっからかん。。

そんな彼女のお金の教科書になるといいな。。

 

 

 

 

 

「燕は戻ってこない」桐野夏生

 

桐野夏生の著作を読む前には、必ず、自分に問いかける。

今、桐野ワールドに飛び込んでも大丈夫?

 

本を開けば、瞬く間に、桐野ワールドに引きずり込まれる。

そこには、女という性、社会のひずみ、人間の欲望や心の闇がある。

普段は、意識的、無意識的に、見えないようにしていたものが

桐野ワールドに足を踏み入れれば

あっという間に目をこじ開けられ

現実を直視させられ、いろんなことを考えずにはいられなくなる。

読後、余韻は、とてつもない。

 

本作は

女性性、男性性、社会のひずみ、人間の暗部を

生殖医療という科学と倫理の葛藤をとおして

描かれている。

 

現代の生殖行為は

人間の本能と医療という科学の間で揺れ動いている。

しかし、生殖行為がどう変わろうとも

生殖の結果である妊娠出産を一身に受け入れるのは

女性だという現実は変わらない。

 

女性側の心の揺れと、男性側の心の揺れを全く異質に描いた桐野の手によって

読者はこの現実の前に立ち尽くすことになる。

 

男性にこそ、ぜひ、読んでほしい1冊だ。

 

「東京あたふた族」益田ミリ

 

 

漫画家、イラストレーターの益田ミリのエッセイ。

デビュー前、大阪から上京するところから始まる。

 

著者の生活、仕事、友人、家族のことなどが

ほのぼのと描かれ、さらさらっと読み進められるが

行間からあふれ出す何かが

ときどき、こころにグッとくる。

 

エッセイを読む楽しさは

ある話では、著者との共通点を見つけてうれしくなったり

ある話では、まったく共感できなかったり

ある話では、そんな考え方もあるのかとしきりに感心したり

ある話では、わっはっは、、と純粋に笑えたり

ある話では、胸にささる何かを感じたり、、

まるで、アトラクション満載の遊園地のよう。。

そして、この遊園地は、待ち時間もなく、移動することもなく

手に取れば、いつだってそこに行けてしまう。

 

本著も、そのエッセイの楽しさがたくさん詰まっていた。

軽やかな文章ながら

このわずか1冊の本が

普段は胸の奥にしまわれている

感情や思いを素直に引き出してくれるにちがいない。

 

 

「此の世の果ての殺人」荒木あかね

 

まっさらな状態でこの本を読み始めた。

物語の世界で、ぐわんぐわんと頭を揺さぶられる。

いったい、どうなってるのか

いったい、どこへ向かうのか、、

 

 

ぜひ、ぜひ、なんの予備知識もないままで

この本を手に取ってください、、

物語の世界を楽しめること間違いありません。

 

まだ、読んでない人は、以下書いてることは

どうぞ、すっ飛ばしてくださいね。

 

物語は、2022年末、福岡県太宰府市の自動車学校から始まる。

当たり前の日常の様子が、まったく当たり前ではなかったとわかるのは

読み始めてすぐだ。

 

実は、翌2023年3月には、地球に小惑星が衝突するという予測がでており

地球規模の人類の危機、特に、日本の九州は壊滅的となる予測だった。

その発表があったのは、わずか半年前の2022年9月。

人々は、突然のことに、不安と恐怖でパニック状態になる。

他の土地へ逃げる者

どうせ死ぬならと、自ら死を選ぶ者

同じ土地で住み続ける者。

 

非常事態を前にして

最後に人間は、どのように生と向き合うのか。

究極の哲学的問いが、物語の基底にある。

 

物語は、とてもスケールが大きく

最初は、非現実的でシュールな世界のように思えた。

しかし、読み進むにつれてリアルな感覚が沸き起こった。

 

それは、福岡県の実際の地名を用い

その土地の風景の具体的な描写をおりまぜて

物語の情景を目の前に立ち上がらせてくれたからだったし

 

人類の危機を前に

無法地帯、無秩序となっていく世界の中で

それでも

希望を失わない人

秩序を保とうとする人

優しさや親切心を失わない人

死を前に最後の良心を取り戻す人を描く一方で

状況を利用して自己の欲望を満たす人間

他人を踏みつけにして自分が生き延びようとする人間を

目をそむけたくなるほどのいやらしさで描いていたからだと思う。

 

物語の中盤、そして、ラスト

秩序を失った社会で、最も醜い行動をとったのは

権力側の人間であったことがわかったとき

「此の世の果ての殺人」というタイトルのすごさに

背筋がぞくっとしたのであった。

 

「正しい家計管理・長期プラン編 老後のお金」林總

 

本来なら

これ👇を読んでからのほうがよかったんだろうけれど

 

 

アラフィフとなった今、もうすぐそこに

「老後」の二文字が見えてきたので

「長期プラン編 老後のお金」の方を手に取った。

 

家計管理というと

どうしても「節約」とか「貯蓄」とばかり思ってしまうけど

実は、「支出」に着目しなくちゃならないということがよく分かった。

 

「支出」に着目するといっても

それは、支出を減らすことではない。

自分にとっても必要な支出、最適な支出を求めていく行動が

とても大事だということ。

 

それは、

何にお金を使うか=どう生きるか

ということに、つながっていくからだ。

 

また、「老後」という言葉はよく聞いても

老後っていつから始まるの?と思ってた。

 

本著は、「老後のお金の」タイトルどおり

まずは、老後とはいつなのかを明確に定義している。

 

老後の資金、、などと簡単に言うけれど

老後のスタートがわからなければ、具体的に考えられないよなあと

当たり前のことに気づく。

 

そして、なんと、その老後のスタートを

実は自分でで決められることを知って、目からうろこであった。

 

将来にわたっての収入、支出、ライフイベントなどを

現時点で大まかに見通し、家計管理を具体的に考えていく

アドバイスが盛りだくさんであった。

 

考えた先に見えてくるのは

お金ではなく、自分の人生のように思えた。

 

「老いた親を愛せますか? それでも介護はやってくる」岸見一郎

 

著者は、アドラー心理学の研究で有名な

哲学者 岸見一郎。

 

彼の実際の介護経験をとおして

年を取ること、生きることについて

とつとつと語られる。

 

目の前の現実的な介護問題

老いた親との関係

認知症との向き合い方。

日々の介護で葛藤し、時には感情的になる

著者自身の姿が、淡々とつづられている。

 

介護する日々のなかで

著者が、ふとした瞬間、子ども時代、青年時代を回顧していく。

そうして、現在と過去の事象を重ね合わせながら

過去の自分から解放されていく過程は

やはり、哲学的である。

 

そして、そのことが

目の前の老いていく父親のことを

ありのままに受け止め

新たな関係性を構築していくことにつながっていく。

 

老いるとは何か、記憶とは何か、家族とは何か、

そして、生きるとは何か。。

 

介護という身近なテーマを扱ったこの本は

身近な問題にこそ、生活そのものにこそ

哲学が必要であると教えてくれた1冊となった。

 

「親を寝たきり・要介護にしないたった6つのこと」平松類

 

さて、前回、前々回と、介護に関する本を読んで

介護に関することを少し知ることができた。

 

知らないことは不安につながるので

介護のことが少しわかって、盲目的な不安は解消されたけれど

それでも、やっぱり、思った。

 

介護サービスが充実してるとは言っても

親には、いつまでも、元気でいてほしいよなあ~。。

 

で、この本を手に取ったわけである。

 

平松類著

「親を寝たきり・要介護にしないたった6つのこと」

 

本書を開くと、目次の前に

「シーン別に・するといいことの流れ」

「親が70歳になったら、するといいことリスト」があり

リストごとに該当のページが書かれていて

親切な本の構成となっている。

 

著者の平松氏は眼科医。

眼科医の視点からのアドバイスは、結構目からうろこ。

眼科だけでなく、耳鼻科や整形外科、内科、認知症に関するアドバイスも多彩。

そして、どれも具体的かつ実践的なモノばかり。

 

さらには、高齢者の生活面の問題についても、細かく言及されていて

運転免許返納問題、スマホタブレットなどネットの問題や

ひとり暮らしの親の生活の確認の仕方

オレオレ詐欺の防ぎ方、親子の距離感、付き合い方まで

この1冊に網羅されていて、びっくりした。

 

これだけの情報量が、文庫本1冊に、コンパクトにまとめられている。

この本が手元にあれば、心強いこと、間違いなし。