「芸人と俳人」又吉直樹×堀本裕樹
何の気になしに、時間つぶしに
何の期待もせず、ふらっと入った帽子屋さんで
とんでもなくかわいい帽子に出会った。
ワタシは、ショップの店員さんが苦手。
そういう職種の人は、おしゃれな人で
ワタシは、その正反対にいる人種。
そして、おしゃれな人は、おしゃれじゃない人を
見下していると、長らく思い込んでいるゆがんだ精神の持ち主である。
なので、店員さんが近づいてくる気配を感じると
欲しいなと思うものがあっても
逃げるようにそそくさとその店を後にするのだが
その帽子屋さんの店員さんは、違っていた。
見るからに、ファッションセンスのある
今風のきれいでかわいい店員さんで
見かけ的には、ワタシが逃げ出したくなるタイプの一人だったのに
その人の近づき方と話しかけ方と
ワタシとの距離感が本当に絶妙で
買う予定のなかったその帽子を
ついつい買ってしまった。
期待も気負いもないところから始めたことが
思いもしなかったところに出口があることがある。
又吉直樹の本が読みたくて
対談本だから、軽く読めるかなくらいの気持ちで読み始めたら
全く知らない世界に連れて行ってくれた。
本でも帽子でも人間でも、こういう出会いが一番面白い。
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俳句に興味を持ちながら、俳句を怖がっていた芸人・又吉直樹が、俳人・堀本裕樹に俳句の基礎を学び、創句、選句、句会、吟行と、俳句の楽しさ、面白さ、奥深さを味わっていく。かつてない俳句の入門書。書下ろしエッセイも収録されている。