「老いた親を愛せますか? それでも介護はやってくる」岸見一郎
著者は、アドラー心理学の研究で有名な
哲学者 岸見一郎。
彼の実際の介護経験をとおして
年を取ること、生きることについて
とつとつと語られる。
目の前の現実的な介護問題
老いた親との関係
認知症との向き合い方。
日々の介護で葛藤し、時には感情的になる
著者自身の姿が、淡々とつづられている。
介護する日々のなかで
著者が、ふとした瞬間、子ども時代、青年時代を回顧していく。
そうして、現在と過去の事象を重ね合わせながら
過去の自分から解放されていく過程は
やはり、哲学的である。
そして、そのことが
目の前の老いていく父親のことを
ありのままに受け止め
新たな関係性を構築していくことにつながっていく。
老いるとは何か、記憶とは何か、家族とは何か、
そして、生きるとは何か。。
介護という身近なテーマを扱ったこの本は
身近な問題にこそ、生活そのものにこそ
哲学が必要であると教えてくれた1冊となった。