「思いつきで世界は進む」橋本治

 

 

子ども時代、学校でよく目標を立てた(立てさせられた、ともいう)

 

新しい学年になったら、新学年になっての目標にはじまり

テストの目標、将来の目標など個人的目標。

 

さらには、クラス目標、委員会の目標

生徒会の目標、運動会や文化祭などの行事の目標などの

全体的な目標など。

 

そして、その目標に向けての計画、実行、反省

そして、ぐるっと1年回って

次の年には、また目標。

 

そんな学校社会で16年を過ごし

世の中ってそういう風にできていると固く信じて

社会に出たら

案外、でたらめだったので、びっくりした。

 

上司が変わるたびに、仕事のやり方が変わるし

上の担当者が変わるたびに

これ意味あるの?という仕事が増え

昨日までよかったことが

今日はダメと言われ

昨日までアウトだったことが

今日からセーフと言われた。

 

ここには、かじを取る人も

責任を取る人もいないのだなと

すぐに分かった。

 

これは、自分の職場だからかと思ったけど

全然そんなことはない。

今の、この国の政治や経済

世界のパワーゲームを見れば

それは、明らかすぎるほど明らか。

 

なのに、世界がどう進んでいるのか

テレビや新聞などのマスコミ

専門家と言われる偉い人は決して教えてはくれない。

 

彼らは、この国は、この世界は

確固たる信念と目標と計画に基づいて

できているかのように伝える。

 

本当のことを知るには、本物の英知が必要なのだ。

混沌極まるばかりの時代に

本物の英知が、まだこの世にあってほしかった。

 

 

 

※「思いつきで世界は進む~「遠い地平、低い視点」で考えた50のこと」橋本治

 遠い地平を俯瞰的に眺めて、想像力だけを地に下して現実を低く見るという姿勢で書かれた時評集。著者最後の時代診断。